双世のレクイエム
▼3:Different people
*
りゅうが仲間になったことを二人に紹介し、ワタルは自身の膝の上にちょこんと座るりゅうの頭を撫でた。
療杏がワタルにとってのお兄ちゃんなら、りゅうはワタルにとって弟分みたいなものだろう。
可愛くってしょうがないとばかりに、ワタルはりゅうに笑みを浮かべる。
それを当然、面白くないと見つめるどこかのワタルラブさんもいるわけで。
<ワタルはんに膝乗りっ、ワタルはんに密着っ…! あの赤蛇野郎、やっぱ潰しとくべきやったか…>
ぎりりと爪を噛む療杏が怖い。昼ドラ的展開だけはなんとか避けたいものだ。
こいつ危ねえな、と視線を遠くにやり呆れる豪蓮の気持ちもわかる。
<で、そいつの名前どうすんだよ>
「名前?え、【りゅう】じゃないの?」
<そりゃそいつの種族だろ。テメェらはこれで主従関係になったんだ。ペットにだって名前つけんだろ?>
「俺、ペット違う!」
<黙れクソ餓鬼>
ムキーっと豪蓮に牙を向けるりゅう。しかし幼児化とした体では、豪蓮に頭を押さえつけられてしまい身動きがとれなくなってしまった。
りゅうには悪いが、その様子を見ていたワタルは密かに可愛いと思っていたりする。
「りゅうの名前か…。うーん、何がいいんだろう。りゅうはどんな名前がいい?」
「俺、ワタルがつけてくれるなら、どんな名前でも嬉しい」
<ほんなら『赤蛇坊や』でええんとちゃいます?>
「君には名前、つけられたくない。ワタルがつけて」
皮肉を込めた療杏の名前は即座に却下された。
ぷいっと顔を背けたりゅうに、療杏は<この餓鬼ッ…>と口元をヒクつかせて今にも殴りそうな勢いである。
なんとか療杏を宥めるワタルは、りゅうにピッタリの名前を考えて頭を捻った。
「じゃあ、【朱火】(しゅか)でどうかな? 朱はりゅうの力の色だし、りゅうは火を操ってたわけじゃん。
どう?りゅう。【朱火】って名前」
りゅうの顔を覗きこんだワタルは、もう一度どうかな、と言ってりゅうの頭を撫でた。
気持ち良さそうに撫でられるりゅうは目を細め、「【朱火】(しゅか)…」と何度も呟く。
その名前の響きに満足したのか、りゅうはワタルの目を見て大きく頷いた。
「うんっ!素敵な名前。ワタル、ありがとう」
「いえいえ、どういたしまして。朱火、これからよろしくね」
「よろしくっ、ワタル、これから一緒!ずっと一緒!」
「うわあっ?!」
飛び跳ねるようにワタルに抱きついたりゅう、もとい朱火は首をしめる勢いだ。
少し苦しかったが、ワタルは特に嫌でもなかった。むしろ、こちらも幸せになったくらいだ。
<あ、あ、あああっ、わてのワタルはんに抱きつっ…。赤蛇ぃぃいいいッ!ワタルはんから離れやぁぁーッ!>
「嫌っ、ワタル大好きぃー!」
「し、朱火っ。わかったから首しまっ。っていうかリィも暴れないでーっ!」
ワタル、僚杏、豪蓮と、いつも一緒だった『仲間』。
<随分にぎやかなこった>
そこに新しく【朱火】も入り、ワタルファミリーはますます賑やかさを増したのだった。
苦笑する豪蓮の呟きは、三人の騒がしい声に掻き消されたという。
りゅうが仲間になったことを二人に紹介し、ワタルは自身の膝の上にちょこんと座るりゅうの頭を撫でた。
療杏がワタルにとってのお兄ちゃんなら、りゅうはワタルにとって弟分みたいなものだろう。
可愛くってしょうがないとばかりに、ワタルはりゅうに笑みを浮かべる。
それを当然、面白くないと見つめるどこかのワタルラブさんもいるわけで。
<ワタルはんに膝乗りっ、ワタルはんに密着っ…! あの赤蛇野郎、やっぱ潰しとくべきやったか…>
ぎりりと爪を噛む療杏が怖い。昼ドラ的展開だけはなんとか避けたいものだ。
こいつ危ねえな、と視線を遠くにやり呆れる豪蓮の気持ちもわかる。
<で、そいつの名前どうすんだよ>
「名前?え、【りゅう】じゃないの?」
<そりゃそいつの種族だろ。テメェらはこれで主従関係になったんだ。ペットにだって名前つけんだろ?>
「俺、ペット違う!」
<黙れクソ餓鬼>
ムキーっと豪蓮に牙を向けるりゅう。しかし幼児化とした体では、豪蓮に頭を押さえつけられてしまい身動きがとれなくなってしまった。
りゅうには悪いが、その様子を見ていたワタルは密かに可愛いと思っていたりする。
「りゅうの名前か…。うーん、何がいいんだろう。りゅうはどんな名前がいい?」
「俺、ワタルがつけてくれるなら、どんな名前でも嬉しい」
<ほんなら『赤蛇坊や』でええんとちゃいます?>
「君には名前、つけられたくない。ワタルがつけて」
皮肉を込めた療杏の名前は即座に却下された。
ぷいっと顔を背けたりゅうに、療杏は<この餓鬼ッ…>と口元をヒクつかせて今にも殴りそうな勢いである。
なんとか療杏を宥めるワタルは、りゅうにピッタリの名前を考えて頭を捻った。
「じゃあ、【朱火】(しゅか)でどうかな? 朱はりゅうの力の色だし、りゅうは火を操ってたわけじゃん。
どう?りゅう。【朱火】って名前」
りゅうの顔を覗きこんだワタルは、もう一度どうかな、と言ってりゅうの頭を撫でた。
気持ち良さそうに撫でられるりゅうは目を細め、「【朱火】(しゅか)…」と何度も呟く。
その名前の響きに満足したのか、りゅうはワタルの目を見て大きく頷いた。
「うんっ!素敵な名前。ワタル、ありがとう」
「いえいえ、どういたしまして。朱火、これからよろしくね」
「よろしくっ、ワタル、これから一緒!ずっと一緒!」
「うわあっ?!」
飛び跳ねるようにワタルに抱きついたりゅう、もとい朱火は首をしめる勢いだ。
少し苦しかったが、ワタルは特に嫌でもなかった。むしろ、こちらも幸せになったくらいだ。
<あ、あ、あああっ、わてのワタルはんに抱きつっ…。赤蛇ぃぃいいいッ!ワタルはんから離れやぁぁーッ!>
「嫌っ、ワタル大好きぃー!」
「し、朱火っ。わかったから首しまっ。っていうかリィも暴れないでーっ!」
ワタル、僚杏、豪蓮と、いつも一緒だった『仲間』。
<随分にぎやかなこった>
そこに新しく【朱火】も入り、ワタルファミリーはますます賑やかさを増したのだった。
苦笑する豪蓮の呟きは、三人の騒がしい声に掻き消されたという。