双世のレクイエム
其壱:受難でござる
*
次の日の朝。初日の通り伽皇山を飛び降りて学園に向かったワタルは、校門につくなり驚いた。
昨日暴れた痕跡が、ひとつもない。綺麗さっぱりすっきりとした校舎には、傷ひとつ見られないのだ。
「うわぁぁ、校舎の修復どうなるんだろうとは思ってたけどさ。まさか一日で綺麗になるとは…」
「綺麗!すごい!」
<多分おそらく、魔術で直したんだろう。こんぐらいなら朝飯前だ>
さすが異世界。なんでもアリだなとワタルが関心していると、後ろから微かに声がした。
どうやらワタルの名前を呼んでいる様子。
一体誰だろう。もしかしてエルかなぁとワタルが後ろを振り向けば。
「ワタルーっ、おはーっ!」
「おは…」
よう、とまでは言えなかった。
勢いよくワタルに飛びついてきたその人物は、まるでバリアをするように腕を十字に組んでおり、その組んだところがワタルの顔面に当たったのだ。
朝からすごい挨拶の仕方だな、と思い相手の顔を確認すると。
案の定、エルだった。
「イテテ…。おはよう、エル。それって異国の挨拶?」
「んにゃ、俺なりの挨拶」
「なんて迷惑な」
痛む鼻を押さえ、顔をしかめるワタルにエルはまたあの笑みで「悪りぃ悪りぃ」と片手を挙げた。
猛烈なタックルのおかげで頭がすっきりしたが、気分はすっきりしない。
一応エルの脛を蹴っておき、しっかりと報復を済ませたワタルは朱火と手を繋いで校内へと向かう。
向かう際、朱火が何かしたのか、後ろから「ぎゃあっ!」とエルの叫びが聞こえた。しかしワタルは無視。エルがなんだか可哀想だ。
しかしものの数秒で回復したエルは、少し先を行くワタルの隣に並ぶのだった。
「今日から新人研修会かー。なにすんだろーな、ワタル」
「グループによって腕が千切れるんでしょ?やだなあ…」
「だいじょぶ!俺、ワタル、守るから!」
もはや腕が千切れることが前提になっている。
<そんな新人研修会ねーよ>と呟いた豪蓮の言葉は、悲しくもワタル達の耳には届かなかったのだった。
新入生はグラウンドに集合。ということで、教室に鞄を置くなりワタルたちはグラウンドに直行した。
エルがいるため、校舎内も迷うことなく無事グラウンドに着くことができた。
そしてさすが実力派エリート校。グラウンドの整備も抜かりない。
グラウンドには既に何人かの生徒の姿があった。
そこにエルが誰かに気づいたようで、片手を挙げて大きな声で叫ぶ。
「あっ、あいつらだ。おーいっ!おはー!」
あいつらと呼ばれた二人の少年は、どうやら同じグループの人らしい。
二人と合流するなり、さっそく自己紹介が始まった。
次の日の朝。初日の通り伽皇山を飛び降りて学園に向かったワタルは、校門につくなり驚いた。
昨日暴れた痕跡が、ひとつもない。綺麗さっぱりすっきりとした校舎には、傷ひとつ見られないのだ。
「うわぁぁ、校舎の修復どうなるんだろうとは思ってたけどさ。まさか一日で綺麗になるとは…」
「綺麗!すごい!」
<多分おそらく、魔術で直したんだろう。こんぐらいなら朝飯前だ>
さすが異世界。なんでもアリだなとワタルが関心していると、後ろから微かに声がした。
どうやらワタルの名前を呼んでいる様子。
一体誰だろう。もしかしてエルかなぁとワタルが後ろを振り向けば。
「ワタルーっ、おはーっ!」
「おは…」
よう、とまでは言えなかった。
勢いよくワタルに飛びついてきたその人物は、まるでバリアをするように腕を十字に組んでおり、その組んだところがワタルの顔面に当たったのだ。
朝からすごい挨拶の仕方だな、と思い相手の顔を確認すると。
案の定、エルだった。
「イテテ…。おはよう、エル。それって異国の挨拶?」
「んにゃ、俺なりの挨拶」
「なんて迷惑な」
痛む鼻を押さえ、顔をしかめるワタルにエルはまたあの笑みで「悪りぃ悪りぃ」と片手を挙げた。
猛烈なタックルのおかげで頭がすっきりしたが、気分はすっきりしない。
一応エルの脛を蹴っておき、しっかりと報復を済ませたワタルは朱火と手を繋いで校内へと向かう。
向かう際、朱火が何かしたのか、後ろから「ぎゃあっ!」とエルの叫びが聞こえた。しかしワタルは無視。エルがなんだか可哀想だ。
しかしものの数秒で回復したエルは、少し先を行くワタルの隣に並ぶのだった。
「今日から新人研修会かー。なにすんだろーな、ワタル」
「グループによって腕が千切れるんでしょ?やだなあ…」
「だいじょぶ!俺、ワタル、守るから!」
もはや腕が千切れることが前提になっている。
<そんな新人研修会ねーよ>と呟いた豪蓮の言葉は、悲しくもワタル達の耳には届かなかったのだった。
新入生はグラウンドに集合。ということで、教室に鞄を置くなりワタルたちはグラウンドに直行した。
エルがいるため、校舎内も迷うことなく無事グラウンドに着くことができた。
そしてさすが実力派エリート校。グラウンドの整備も抜かりない。
グラウンドには既に何人かの生徒の姿があった。
そこにエルが誰かに気づいたようで、片手を挙げて大きな声で叫ぶ。
「あっ、あいつらだ。おーいっ!おはー!」
あいつらと呼ばれた二人の少年は、どうやら同じグループの人らしい。
二人と合流するなり、さっそく自己紹介が始まった。