双世のレクイエム

問2:双世、思如何程何




「おい、一体どういうことだ」


眠っている少年を指差し、紅髪の人物・豪蓮(くおれん)はぎろりと目の前の蒼髪を睨んだ。


「何のことでっしゃろ」

「とぼけんな!俺らが責任をとる?バカも休み休み言え。なんで俺様がこんな餓鬼の面倒を…」

「レンちゃん、しぃーっ。この子が起きてまうやろ」


ちょん、と人差し指を唇にあてる仕草は、まるで子供を相手にしているようだ。豪蓮(くおれん)も気に食わんとばかりに顔を歪めた。


視線の先には、草原の上に身を沈めてすやすやと眠る黒髪の少年。

つい先刻、自分たちがぶつかったせいで喋れなくなったという異常事態を起こした面倒な奴である。

それをこの蒼髪の人物・療杏(りゃおあん)は面倒を見るというのだ。冗談じゃない。


「俺様は反対だからな。なにが悲しくてこんなちんくしゃを」

「ちんくしゃ言わへんの。可愛いお顔してはりますやん。わてもこんな弟欲っしいわあ」

「……、悪趣味」

「子供嫌いなレンちゃんには分からんどす。ああんもうっ、お持ち帰りしたいっ」

「……。」


些か暴走する療杏(りゃおあん)に冷たい視線を送るも、既に自分の世界へと入ってしまった奴には効かない。


「(何が悲しくてこんなロリショタ好きと行動せにゃならんのだ)」


内心呆れつつも、実際この療杏が自分と対になる器であることは確か。
あまり蔑ろにも出来ない豪蓮は、何度目かの舌打ちをかましたのだった。




「で?」

「はい?」

「…だから、お前が責任をとって世話を焼く「わてだけやなし、レンちゃんも責任とるんやで」…わかったから最後まで聞け。
お前がこいつを世話するには、なにかしら理由(わけ)があるんだろうな?」

「……うん?」

「……。」


きょとんと首をかしげる療杏に、豪蓮の怒りメーターがぎゅんっと上がる。
それに気づいた療杏は慌てて言葉をつけ足した。


「も、もちのろんでっせっ!別にただショタやから世話ぁ焼くんやあらへんって!」

「……。」


ほんとかよコイツと言いたげな目でじっとり見つめる豪蓮に、療杏はさらに言葉をつけ足す。
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