双世のレクイエム
顔を引きつらせながら、「それで?」とワタルは豪蓮に視線を戻す。
「俺の力が強大で凶悪だから、なんだってんのさ」
「かーっ!これだから今時の若者はっ。まじねーよwwww それDEも3年間修行シツェ!(;° Д°)たのかよ」
「2ちゃん用語使ってる奴に言われたくないんだけど?!」
っていうか引くわ!あんた怖ぇえよ!
豪蓮の意外な一面に喚くワタルに、「俺だってテメェのいた世界の言葉を勉強したんだぞ」と豪蓮は胸を張る。
が、違う。何かが違う。
一体どこで『メタい』やら『シツェ!(;° Д°)』やら2ちゃん用語を習ってきたのだ。
何気に謎である。
ああ、なんだか頭が痛いと押さえれば、豪蓮は何をそんなに嫌がるのだ、と疑問符を浮かべる。
いや別に、嫌というわけではない。
ないのだが…、なんだかなあ。
言葉に出来ぬもどかしさに、ワタルがもごもごと口を動かすが、それも豪蓮が首をかしげただけで終わった。
「話を戻すぞ。ワタル、テメェの力…っつーか、この世界では『力』イコール『色』だ。何色が強いっていうのはねえが、テメェぐらい珍しい色はまあ、まず強いってのが分かるだろうな。
実際、紫髪なんてテメェぐれえじゃねーか?知らんけど」
「なんて適当な…」
「テメェのことぐらいテメェで調べろ解釈しろ。第一、俺様もナマで紫髪なんざ見たのは初めてだっつーの」
「えッ、そうなの?うっわー…、俺ってスゴい」
「ナルシか」
まあ確かに、おめーはスゲェよ。
頭を掻きながらそう言う豪蓮は、些か呆れているようだった。
ワタルと豪蓮では、住んでいた世界が違う。もっともだが、常識も違ってくる。
『紫』という異質さを、どれだけこの少年は理解しているのやら。
豪蓮は溜め息をつかずにはいられなかった。
「それでだ。テメェが力を使う時にゃ、必ず髪が紫になる。そこはもうどうしようもねえ。
だからこそ、テメェは人前で力を使っちゃ駄目なんだぞ、って言いたいわけだが…」
「え、カツラ被ればよくない?」
「よくねーよ」
「だって、髪色さえバレなけりゃ、力なんて分かんないんでしょ?」
「あのなあ…。力は髪色に影響するだけじゃねえんだ。簡単に言やあ、ビームの色も力色。
テメェの場合ウ○トラマンビームが紫になるってこったな」
「ウ○トラマンまで勉強したのか…」
一体俺のいた世界の何を学んできたのだとワタルが呆れた視線を向けるが、豪蓮は「博識だろ?」なんぞと笑ってぬかす。
ニホンの文化を知って博識とは、また何か違うが…。
また拳骨を喰らうのはもうこりごりなので、ワタルは黙っておいた。