ラベンダーと星空の約束
Prologue
――これは夢…
私は今、懐かしいあの夏の夢の中にいる―――
良く晴れた夏の夜。
満天の星空。
目の前には広大なラベンダーの丘。
ライトアップされたラベンダー畑が、
夜闇の中にぼんやりと青く浮かび上がる。
優しい風がサワサワと花穂を揺らし、
辺り一面、爽やかな香りが立ち込めていた…
ラベンダー畑と星空を見ながら、私は彼と並んで座っていた。
小学5年生の私と、
小学6年生の彼。
彼は綺麗な薄茶色の瞳に私を映し、こんな約束をしてくれた。
「手術が成功したら…ここに戻って来るよ…
紫(ユカリ)とこの大地で生きてみたいんだ……」
「うん… 待ってる…
私…ずっと流星(リュウセイ)を待ってるから…
だから絶対に戻って来てね?絶対だよ?」
「約束する。
動けるようになったら一番に君に会いに来る。
もう一度、君とこの景色を見たいんだ…
あのさ…
えーと…目…瞑ってもらえるかな…?」
「ん? うん ………………………………………………あっ…」