ラベンダーと星空の約束
彼女は5年間指輪を大切に持っていてくれて、
俺がこの高校にいることを知り、約束を果たす為会いに来てくれた。
このストーリー…どうだろう?
……違うな。
これを事実とするなら、説明出来ない事柄が二つある。
一つはゆかりちゃんがあのメッセージカードを見て「知らない」と言ったこと。
フラノから追いかけて来てくれたなら
「知らない」と嘘をつく理由がない。
二つ目はまだ指輪を返されていないこと。
再会の約束は果たされたのに、指輪だけ返さず持っているのはおかしいだろ。
違うか……バカだな俺。
無意識に、彼女を紫(ムラサキ)ちゃんに結び付けようとしているのかも知れない。
空想の世界を広げ過ぎて、俺って危ない奴になっていないか?
自分の妄想力に呆れ首を横に振ると、
探る様に横目で見ている瑞希と目が合った。
「瑞希、何?」
「大ちゃん…」
「何だよ?」
「あっ…紫ちゃん勝って良かったね……」
「ああ」
彼女は2ゲーム目も快勝し試合は終了した。
対戦相手と握手をして、その後ネックレスが飛び出していた事に気付き、
慌てて衿元にしまい込んでいる。