ラベンダーと星空の約束
◇◇◇
テニスの二回戦を終えた私は、
紫水晶の指輪が、飛び出していたことに気が付いた。
急いでしまい込みホッと気を緩めたが、
もしかして流星が観戦していたのでは……
そう気付き、慌ててギャラリーを見回した。
そして…
フェンス越しに私を見つめる流星と目が合ってしまった。
息が止まるかと思った。
だって流星が、瞬きする事も忘れて、険しい顔で私を見ていたから。
指輪を…見られた…?
正体に気付かれた…?
どうしていいのか分からなかった。
その場から立ち去ることも視線を逸らすことも出来ず、
テニスウェアの胸元を握りしめ、ただオロオロしていた。
テニスで流した清々しい汗の代わりに、冷や汗が背中を伝う。
二人の間に流れる、緊迫した空気に堪えられなくなった時、
瑞希君の私を呼ぶ声で救われた。
「紫ちゃーん!こっちこっち!」
その大声でハッと我に返ったのは、私だけじゃなく流星も同じだった。
手招きしている瑞希君の方へ怖ず怖ずと近寄ると、
意外にも流星は普通の、いつもの軽いノリで、話しかけてきた。
「ゆかりちゃ〜ん、サイコ〜!
パンチラサービスし過ぎだよ〜 超エロかった〜
けどさ〜次のゲームはジャージに着替えた方がいいよ〜?
でないと、俺と瑞希に視姦されまくり〜」
「大ちゃん!
僕までエロ仲間にしないでよ!」
バレて……ない?
指輪を見られてない?
それとも、見られたけど紫水晶の指輪だと気付かなかった?
どっちなのか分からないけど…
はぁー…良かった……