ラベンダーと星空の約束
「ねぇ、何考え込んでたの?
大魔神って言葉がどうかしたの?」
「んー…分かんないけど…何かすげー引っかかって。
『大魔神』って、昔誰かに言われたような気が…
そんでもって、それを言われて、嬉しかったような……
んー…やっぱ気のせいかな?
最近、妄想癖が加速気味で、ちっとヤバイ奴になってんのかも〜」
「あっ…」
それ言ったの…私だ…
流星に言われて思い出したことがあった。
あの夏に初めて流星に会った時のこと。
名前を教えてくれた彼は、
“大文字(ダイモンジ)”という名字を言い難そうに名乗った。
今は小麦色の肌も、
あの頃は白くて華奢な体型で、大人しそうなイメージだったから、
それが重量感ある名字と似合わないのが、恥ずかしかったみたい。
だから私は
「大文字って、大魔神みたいに聞こえて格好いいね」って……
そんなダジャレっぽい、恥ずかしい事を言った気がする。
流星は…思い出しかけてる?
今みたいに、あの夏に繋がる糸口を示していけば…もしかして……
そんな期待をしてしまい、ドキドキと鼓動が速まった。
波立つ心を静める為に、
胸元の紫水晶の指輪を握りしめようとした。
握りしめようとして…
外していたことを思い出した。