ラベンダーと星空の約束
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◇◇◇
一学期最後の日。
大量の宿題を鞄に詰め込み学校を出ると、そこから先は夏休み。
明日の朝早くに柏寮を出て、午前の飛行機で北海道へ帰る予定を立てていた。
柏寮の自室で帰省の為の荷造りをしていると、
暑さに開け放していたドアから、瑞希君がひょっこりと顔を覗かる。
「紫ちゃん、今忙しい?」
「あと少しで荷造り終わるけど、何? 私に用事?」
「今から毎年恒例の『柏寮流し素麺大会』を始めるからおいでよ!」
「流し素麺大会…?」
夏だし流し素麺はいいとしても…
『大会』ってどういう事だろう?
大食い大会や早食い大会なら順位の付けようがあるけど……
不思議に思いながら、
瑞希君に連れられて外へ出た。
柏寮の西側の、狭く細長い庭に行く。
亀さんとたく丸さんが笑顔で迎えてくれて、
流し素麺の準備は整え終わったようだった。
柏の木の下には長机が一つ置かれ、お椀や麺つゆ薬味が並べられている。
毎年恒例と言うだけあって、流し素麺の半円形の竹筒は年季が入っていた。
それが長く繋ぎ合わされ、置いてある。
庭の中央に、何故か学校の机と椅子が一組置いてあり、
椅子の上には大きなザルが乗せられていた。
帰って来てから寮内がバタバタして、
てっきりみんなも帰省の準備に忙しいのかと思っていたけど、
流し素麺の準備をしていたのか。
言ってくれたら手伝ったのに……
そう言うと瑞希君は
「驚かせたいから内緒にしてた」
とニヤッと笑って言った。
驚かせる?
突然の流し素麺のお誘いに少しは驚いたけど……
瑞希君の意味ありげな笑い方は、
もっと驚くことが待っていると言いたげに見えた。
「紫ちゃん、もう少し塀側に下がってくれる?」
「うん…?」