ラベンダーと星空の約束
 


「ゆかりちゃーん、
最後の5杯目にピンクの麺が一本だけ入ってるから、それだけは取ってね〜

それ取れたら、特別賞プレゼントしちゃうから〜」




ピンクの麺って、
素麺の束の中にたまに紛れてるアレだよね?



ピンクの麺……特別賞……絶対に取る!!



動態視力は優れていないけど、色付きの麺は狙い易かった。




「ヤッター!
ピンクの麺取れたよ!」



「おー!凄いじゃん!
後で特別賞あげるねー」



「大ちゃん? 特別賞なんて用意してないけど、どうするの?」



「大丈ー夫!
今から用意するから」





特別賞って…流星の思い付きだったんだ。

今から用意するとは何をくれるつもりだろう?



お菓子とかジュースとか消費物かな?
それはそれで普通に嬉しい。



亀さんの記録は22本。
瑞希君は16本。

最後は流星の番。



流星の指名で麺を流す係りを私がすることになり、入れ代わりに2階へ上がった。




「ゆかりちゃーん、下から見上げる君も可愛いー!
ロミオとジュリエットみたいな気分〜!」




ロミオとジュリエットは流し素麺なんて絶対にやらない。

シェイクスピアに怒られるよ全く……




「流星ふざけてないで箸持って構えて?流すよ?」


「どーぞー」




麺を流す前の流星に真剣さは見られなかったけど、

麺が流れた途端に驚く程の集中力を発揮させ、

掴んだ素麺の合計は…34本。




「流星… 凄い……」



「大ちゃんヤルー!
たく丸君抜いちゃったじゃん!しかも歴代新記録だね!」



「へへー。
流す係りをゆかりちゃんに頼んだからさ。愛の力ってヤツ?」




愛の力な訳がないけど、
真剣に素麺をすくう流星の姿に、不覚にもドキドキしてしまい、

こんな事でときめく私ってバカ?

と、自分にツッコミを入れていた。




優勝者の流星には賞品があるみたい。

その話しになった時、私を抜かした4人の間で不思議な会話が交わされた。



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