ラベンダーと星空の約束
 


俺が本当は嫌がってんの気付いてないだろ?

心から嬉しいみたいな目をしやがって…

俺がすげー嫌な奴みたいじゃねぇか。



 ◇


夜7時。
誕生日プレゼントと花火セットを持ち、待ち合わせの場所に来た。



空は明るくも真っ暗でもなく、花火をするには調度いい暗さだった。



着いてから数分後に、紫と青空と流星が、流星の宿泊先ペンションの方向から歩いてきた。



わざわざ迎えに行ってたのかよ……

迎えがないと来れないなら、来るなってんだ。




「わー!!いっぱい花火あるねー!流星何からやる?」



「そうだね…普通の手持ち花火からやりたいな」



「やっぱり最初は普通の手持ちからだよね!私もそう思う!」




いつもの紫は、初っ端からネズミ花火とかロケットとか、盛り上がり系をやりたがる。


何だよ……


流星に気に入られようとしてんのが、見え見えじゃねぇか。




仕方なく俺も、紫に合わせて手持ち花火からやり始めた。



紫は「わー綺麗だねー!」なんてはしゃぎながら、流星の隣で嬉しそうな笑顔を見せている。



二人の姿にムカついた俺は、手持ち花火二本を両手に持ち、

ぐるぐると宙に円を描きながら、青空と走り回るしかなかった。



そんな状態がしばらく続いた。

4人でやってる筈の花火が、
いつの間にか紫と流星、俺と青空の二組に分かれてやってる感じになり面白くなかった。



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