ラベンダーと星空の約束
そう思い浮かれていたが、束の間の優越感に過ぎなかった。
「今日は紫の誕生日なんだね。おめでとう。
僕、知らなかったから何もプレゼント用意してないよ。ごめん…」
「そんなの全然気にしなくていいよ。
私の誕生日って確かに今日なんだけど、
ラベンダーのシーズンは忙しいから、誕生会は9月に入ってからやるんだ。
だからそっちの方が誕生日って気がするし、別に今日にこだわらないから」
「紫は優しいね…ありがとう。
大樹君のプレゼント、綺麗な星空の絵柄だね。
これで手紙を貰った人は喜ぶと思うよ」
「流星もこのレターセット好き?
じゃあ流星が東京に帰ったら、これで手紙を出すよ!」
「…いやそれは…大樹君に悪いから…
僕宛てのは他の便箋でお願いできるかな…」
まったくだよ!
何で俺があげたレターセットで流星に手紙を書くんだよ!
あーもー頭っきた。
やっぱ紫なんかには、その辺の石ころに絵でも書いたやつをあげれば良かった。
「紫のプレゼント明日用意するから。何か欲しい物ある?」
「本当に何もいらないよ」
「でも、僕だって君の誕生日を祝いたいんだ。何か欲しい物考えてよ」
「うーん、じゃあね…星座の話しを聞かせて?それが誕生日プレゼント!」
「……いつも聞いてるのに?そんなんでいいの?」
「うん!! 流星の話す星の物語ってワクワクするんだもん。それが一番嬉しい!!」