ラベンダーと星空の約束
 


「紫…ありがとう。

じゃあ、今日は何の星座の話しにしようかな。8月7日…紫は獅子座だよね?

獅子座は春の星座だから今は見えないんだけど、話しだけするね。

12の冒険をすることになった勇者ヘラクレスの……――――――――――――――――」





流星の話しを嬉しそうに聞く紫の瞳には…

俺の姿は写ってない…



俺のあげたレターセットで流星に手紙を書くって?

一番嬉しいプレゼントが、流星の話す星座の神話だって…?



何だよ…それ…
流星流星って…紫は俺のことなんかどうでもいいのかよ……




獅子座の話しが終わった後も夜空を見上げたまま、二人の世界から出てこなかった。



さっきまで薄暗かった空は今はもうすっかり濃紺色。

沢山の星が瞬いているのが見えた。



星なんて嫌いだ。
流星も嫌いだ。



凹んだ気持ちを吹き飛ばすため、残っていた花火に片端から火を点けていった。



ネズミ花火10連発にロケット花火20連射。

どーだよ。うるさくて星の話しなんて聞こえねーだろ。



苛立ちを乗せた花火を乱発する事で、少しは気分が良くなった。



けど…
運悪くロケット花火の数本がビニールハウスに穴を開けてしまい、

その翌日の俺は、紫のおじさんからゲンコツを食らう羽目になった。






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