ラベンダーと星空の約束
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◇◇◇
フラノに帰省する日の朝、
見送りに玄関先まで出てきた流星と少しだけ話しをした。
流星から言われた事は
『大樹になびくな』って事と
『メールするから』って事と
『ところで、北海道のどこに帰るの?』って事。
3つ目の質問に関しては、今までなら焦ってはぐらかす所だけど、
この時はニッコリ笑ってこう返した。
「秘密!一ヶ月後にそれも教えるから楽しみに待っていて?」
「え〜?それも一ヶ月後なの?何で〜?」
不満顔で口を尖らす流星を可愛く思い、手を振って柏寮を出た。
羽田から旭川空港まで1時間45分空を飛び、
そのあと富良野バスに1時間揺られて、やっと中富良野(ナカフラノ)に帰ってきた。
ここを発ったのはまだ雪の残る3月末のこと。
色味の淋しい季節から4ヶ月が過ぎている。
バスから降りて周囲をぐるりと見渡すと、フラノの大地は一年で一番色彩豊かな季節に入っていた。
さっぱりとした清々しい暑さの中、
バス停から自宅までの徒歩15分の道程を、久しぶりの景観を楽しみながら歩いていた。
時々すれ違う観光客達は、穏やかで柔らかい表情を浮かべている。
訪れる客人を優しい気持ちにさせるこの大地は私の自慢。
あぁ、やっぱりフラノっていいな……
今日のフラノは晴天で観光日和。
北東の方角に十勝岳連峰の峰々がはっきりと見えていた。
空はどこまでも青く澄み、
真っ青なキャンパスの中央に、白い絵筆を走らせた様な飛行機雲が棚引いている。
虫の音、鳥の声、遠くから聞こえるトラクターのエンジン音。
稲や野菜の緑の田畑が見渡す限りに続いている。