ラベンダーと星空の約束
 


後は品出しをして、すっからかんの商品棚に補充しないといけない……



もう一人の土産物係のアルバイトの人は、先程のお客さんにまだ捕まっていた。



二人の側に行って話しを聞く。

そのお客さんの要望は、10枚一組で売っているポストカードセットの中から、

好きな物だけバラで買いたいと希望していた。



バラ売りの物も数種類用意してあるのに、それらの中には欲しい物が無かったらしく、

アルバイトの人がセットは崩せないと言っても、聞き入れてくれない様だった。



お客さんの気持ちも分かるし、アルバイトの人もマニュアルに沿った説明をしているから、

臨機応変な対応が出来てないなんて怒れない。



アルバイトさんに代わり、私が対応した。



「分かりました。今すぐバラでお持ち帰り頂く訳にはいかないのですが、

後日お宅の方に郵送という形でしたらお受けします。

うちのポストカードを気に入って頂けて嬉しいです。

今回は特別に送料はサービスさせて頂きます」




そう言うとお客さんはやっと納得し、郵送用紙に記入して笑顔で帰ってくれた。



捕まっていたアルバイトの人はホッとした顔でお客さんを見送っていたけど、気を抜いている暇は無い。



「アルバイトさん、急いで商品補充して下さい。

売れ行きのいい物から先に補充して下さいね」





< 239 / 825 >

この作品をシェア

pagetop