ラベンダーと星空の約束
 



 ◇


忙しく店内を動き回り、あっという間に18時の閉店時間になった。


今年も沢山のお客さんが来てくれて嬉しかった。


毎年顔を見せてくれるリピーターのお客さんとも話しが出来たし、久しぶりの店での仕事を楽しんだ。



柏寮も居心地が良くて、東京での自分の居場所になっているけど、

戻ってくるとやっぱり私の生きる場所はここなんだと実感させられる。



中富良野のとある観光農園…ここが私の生きる場所。



来年のラベンダーのシーズンには流星を連れて戻ってきたいな……



青空と一緒に店の片付けと掃除をして、

明日の軽食の仕込みを軽く済ませ、戸締まりしてから店を出た。



母は一足先に自宅に戻り夕食の支度をしてくれている。



父はラベンダーの間に配線を巡らせて、ライトアップの準備中だ。



空にはモコモコ羊雲。

夕日は羊雲にオレンジ色の光を残し、丘の向こうにゆっくりと沈んでいく。



星空も素敵だけど、夕焼けから夜に移行する短いこの時間の空も好き。



夕焼けのオレンジ色の部分と夜の紫色の部分が、一繋がりの空に共存している。




「青空見て、すごく綺麗だよ!

羊雲が黄色とオレンジと、薄紫と濃い紫と……層になって染められてる。

このコントラスト胸に染みるね……」



「…姉ちゃんって、そういう恥ずかしい事平気で言うよな。

俺にそんな話しを振らないでよ。

風景見て『わー綺麗ー』とか、男の俺が言えるわけないじゃん」



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