ラベンダーと星空の約束
「男だから言えないんじゃなくて、感受性に乏しいからじゃないの?
流星ならきっと共感してくれるよ。
そうだ! 流星に写メ送ってあげよ」
ポケットからスマホを取り出すと、黄昏(タソガレ)の空に向け静止画を撮影した。
うん!綺麗に撮れてる!
ラベンダー畑が入らないように気をつけながら写した。
ラベンダーの写真は一ヶ月後に嫌ってほど見せてあげるよ。
でも今はフラノを思わせる物は送らない。
だって…一ヶ月後に一気に全てを打ち明けて、盛大に驚かせたいじゃない?
流星どんな顔するかな?
泣き出すかもしれないね。ふふっ。
「姉ちゃんキモイ。
何思い出し笑いしてんのさ」
「キモイって…失礼な子だね。
思い出し笑いじゃなくて未来予測笑いだよ」
「はあ?」
「何言ってんの?」と言いたげに口をポカーンと開ける青空。
相変わらずアホっぽくて笑ってしまった。
久しぶりに見ると弟のアホ面も可愛いもんだ。
流星に画像を送信して、腹ぺこの姉弟は、夕食のいい匂いの漂う自宅に一緒に帰った。
◇
夜、お風呂から出てリビングに行くと、大樹がソファーで寛いでいた。
うちのリビングには3人掛けのソファーが二つ、L字型に置かれている。
その一つに父が寝そべりカーカーといびきをかいて寝ていた。
ビールの空き缶が三本転がっている所を見ると、きっと朝まで起きないだろう。
もう一つのソファーは大樹が一人で占領し、ゴロリと横になってテレビを見ている。
青空はソファーに背をもたれて床に座り、母はまだキッチンで片付け中だ。