ラベンダーと星空の約束
「分かってんならいい。
紫、スマホ借りるぞ?」
大樹はそう言って、床の上に落ちていた私のスマホを手に取り、画面を操作し始めた。
「何してるの?」
「流星に掛ける」
「やっ ダメ! 待って!」
下腹部の痛みに顔をしかめながら、慌てて起き上がり大樹の手を掴んだ。
「離せよ。中途半端な事は許さねぇ。
お前、どうせ自分からは言えねぇだろ?」
「言う!自分で言うから!
だからお願い…少しだけ待って……
心の整理をして言葉を選んで…なるべく流星が傷付かない様に……」
駄目だと言われたらどうしようかと焦ったが、
大樹は「分かった」と言ってくれた。
「少しだけなら待ってやる。夏休みまでだぞ。
夏休み中に俺を選んだこと絶対に言えよ。
出来ないなら俺が電話するからな」
「うん…」
◇
服を着て、すぐに大樹の家を出た。
送ると言われたけど断った。
一人で考えながら歩きたかった。
足を踏み出す度に下腹部がズキズキと痛むけど、
夕飯の支度をしないといけないから、なるべく急いだ。