ラベンダーと星空の約束
数秒の沈黙が怖い。
10秒後に深い溜息が聴こえた。
『マジかよ……
だから最近電話で話していても、変な間があったのか……』
「流星…ごめ…」
『黙って!
今は…弁解も謝罪も聞いてあげる余裕はない。
明日……柏寮で待ってるから…その時全てを聞かせて』
プツリと一方的に通話は切られ、
通話終了の機械音だけが虚しく耳に響いていた。
物凄く緊張した分、一気に力が抜け、
ヘナヘナとその場に座り込んだ。
言ってしまった…
傷付けてしまった…
分かってはいたけど、実際に落胆した声を聞くと、居た堪れない気持ちになる。
項垂れて座り込む私を、
大樹は背中から強く抱きしめた。
「大樹……
これで…いいんだよね…?」
「ああ…
言ってくれてありがとな」
「私にお礼なんて…らしくないね」
「そうだな。
けど…分かってるから。
どんな思いでアイツを振ったのか…分かってる。
だから礼くらい言わないとな。
ありがとう…俺を選んでくれて……紫…すげー好き……」
「大樹……」
大樹の優しい言葉に、涙が一筋、頬を伝って口元に流れ込んだ。
中々言い出せなかった私の行動が、大樹を不安にさせていたことだろう。
やっと言えたと言う安堵、
流星を傷付けた心の痛み、
口に流れた涙は、何とも言えない複雑な味がした。