ラベンダーと星空の約束
 


予想していた反応とは違った。


予想とは、

悲しんで怒って…

「何でだよ!」って、怒りをぶつけて来ると思っていた。



目の前にいるのは、
感情を殺した流星…

怒らないその顔が怖かった。




胸元に下がる紫水晶の指輪を、服の上からギュッと握りしめた。



クーラーが心地好く効いてる部屋の中、

冷汗が背中を伝って流れ落ちた。




怖くて泣きそうになった時、突然流星がニッコリと笑った。


そして…

チャラさ全開で私に話しかける……




「大樹やるな〜!
ゆかりちゃんにしたら、究極の二択だったって訳か。

しかも考える時間を与えないとはね。

君の話しを聞く限り馬鹿な奴かと思ってたけど、結構策士だねー。
俺完敗だわ〜

で…?初体験はどうだった?気持ち良く…はないか。ハハッ」



「あ…れ… 流…星…?」



「ん? 何?」



「私の事…怒らないの…?」



「んー…さっきまで怒り心頭だったけどさー、

大樹の想いに比べたら、俺のいい加減な気持ちなんて敵わないからさー。

だからもう…ゆかりちゃんには何もしないよ……」



「流…星……」



「あっれ〜? 何か残念そうな顔してるね?

何かして欲しくなった?
セフレでいいならいつでもOKだよ?

大樹とは違う男の感触も知りたくなったら、いつでもおいでよ。大歓迎〜」



「何で……」





私は思い上がっていたのかも知れない。



流星の告白を断ったら、傷付けると思っていた。



今の私を本気で好きになってくれたなら…

素の感情を曝け出してくれると思っていた…



でも実際は…違った。



流星は心臓移植の話しをしてくれた以前の、
チャラさ全開な態度で話しかけてくる。



私だけに見せてくれた本当の涙も心も…

軽薄さの中に再び隠されてしまった。



ニコニコと私に向けるその笑みは偽物……



私は…
流星が本心を見せるに値しない人物に成り下がった。



もう二度と彼の心に触れられない…

本当の笑顔を見せてくれない…



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