ラベンダーと星空の約束
一頻り泣いて、それからふと思った。
私と流星の恋物語にしては、ヒロインの少女が私に似ていないと…
ノンフィクションじゃないので100%私を描く必要はない。
それは分かっているが…
それにしても見た目も性格も違い過ぎた。
あの夏の私は、Tシャツ短パンで走り回る活発な少女だった。
物語の少女のように仕立ての良いワンピースを着ていないし、
大人しくないし、可憐でも純粋でもない。
うちの店、ファーム月岡も登場しなかった。
星空の下、ラベンダー畑で再会を約束した場面は同じだけど…
この少女はやっぱり私じゃないかも…
流星は私を忘れてしまったのかも…
悲しい予感が頭を掠める。
すぐにぶんぶんと首を横に振り、それを否定した。
忘れられること程悲しいことはない。
彼に渡したメッセージカードには、忘れないでという想いを込めた。
待っているから忘れないでと…
大丈夫…大丈夫だよ…
メッセージカードの写真を本の表紙にしたのは、忘れていない証拠。
流星が私を忘れるなんて、有り得ない…