ラベンダーと星空の約束
「君は相変わらず自分を分かってないなー
まぁ、今はその話しはいいや。
少しは笑顔を作れるみたいで安心した。
フラノから戻って、ズドーンて暗かったから、心配してたんだよ?」
「あ…ごめんね…」
そんなに暗いオーラを出していたとは気づかなかった。
なるべく普通の調子で、寮の皆に接していたつもりだったのに。
瑞希君だから私の変化に気付いたのはあるかも知れない。
羨ましいくらいに、人の気持ちをスイスイ読み取ってしまうから。
そして、これも多分気を遣って…
彼が流星用のお弁当を指差しこう言った。
「大ちゃんのお弁当、
僕が食べてもいい?」
「あっ でも時間経ってるから傷んでるかも…」
「お昼からずっと、あの日陰にいたんでしょ?
あそこ寒い位だから大丈夫だよ」
お弁当箱を開けた瑞希君は、驚いた顔をする。
「手が込んでるね…
いつもこんな凄い弁当作ってたの?何時に起きて作ったのさ…」
「そんなに早起きはしてないよ。
下拵えは前日にしておくから」
「ふーん。んっ美味しい!
紫ちゃんも自分の分を食べなよ。お昼抜きでお腹空いてるでしょ?」
胸が苦しくて空腹は感じなかったけど、
瑞希君が一緒に食べてくれたお陰で、何とか完食できた。
瑞希君は半分食べて箸を置いた。
「ごめん。美味しいけど量が多くて…
でも後でちゃんと食べるからね?お弁当箱も洗って明日返す」
食べ切れないのは当然。
流星用のお弁当箱はかなり大きい。
私のお弁当箱の3倍くらい。
見掛けによらず大食なんだよ。
流星が好きだと言ってくれた、
だし巻き玉子も、今日は6切れも入れちゃったし……
瑞希君が食べてくれて、お弁当が無駄にならずに済んだ。
そのことにお礼を言うと、
彼は笑った。
「ご馳走して貰った方なのに、お礼なんておかしいよ」
そして本題に入る。
「さて…お腹も膨れたし、そろそろ聞いてもいいかな?
君と大ちゃんの間に何が起きてるのかを…」