ラベンダーと星空の約束
 


流星から聞いた、中退の条件を瑞希君に言った。


私より一年先輩の瑞希君。
知っていて当前なのに、なぜがピンと来ていない様子。




「は?
500万って何の話し?」



「何のって…特待生の中退には、3年間分の正規の学費を、一括納入する決まりなんでしょ?

うちは学費免除の特待制度を利用しないと、この高校に入れなかったから、

いきなり500万払えって言われても無理なんだよ…」



「それ…
誰から聞いた話し?」



「流星だよ?
えっ?何か間違ってるの?」



「……いや…間違ってないよ…
一括納入…そうだったね…

そうか…大ちゃんは…

紫ちゃんごめん。地元に帰れなんて言ってごめん。
やっぱり柏寮に居てくれる?」




急に意見を変えた瑞希君。

その後、何かを考え込んでしまい、話しにならなかった。



彼の部屋を出て自室に戻る。

制服のままベットに体を投げ出した。



何だかとても疲れていた。
宿題も着替えすら、する気がおきない。



疲れているけど
眠りはやって来ない。


鈍過ぎる私に瑞希君が教えてくれた事、
それが頭の中をリフレインする。



流星にとって私は、
どうでもいい存在に成り下がったと思っていたけど…

そんな事はないの…?



私は大樹を選び、
流星は紫(ムラサキ)ちゃんを選び…


流星はdrawだって言ってたけど、
本当はご飯も食べれない程傷付いてたの…?



流星が傷付き苦しんでいると言うのに…

私は…

まだ想ってくれているという事実に、喜んでしまう心を押さえられなかった。



嬉しいけど、自分の身勝手さを非難する心も同時に生まれる。



本来なら私が大樹に早く恋をして、
流星が私への恋心を白紙に戻す事を願うべきなのに。



頭で理解しても、
心はそこから掛け離れた場所にある。



大樹を選んだ今も、
私の心は流星を求めている。



流星が…好き…

苦しい…



ベットに寝転んだまま、
床に敷いたラグの模様を見つめていた。

この部屋の真下は、
流星の部屋。



流星は今…
何を思っているの?


紫(ムラサキ)ちゃんのこと?
それとも…私のこと…?




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