ラベンダーと星空の約束
亀さんが言う。
「一人荷台に座らせれば何の問題もないだろ?
この場合、女の子である月岡さんが適当だな。
流星が後ろに彼女を乗せてくれ」
亀さんの発言に
場の空気が凍り付いた。
誰もが気まずい表情を浮かべる中、亀さんだけは平然としている。
眼鏡の奥の瞳はいつもの様に静かで穏やかな笑みを湛えているが、
一瞬だけキラリと作為的な光りを放った気がするのは、
気のせいだろうか…
亀さん…
私と流星が気まずい関係なの知ってる筈だよね…?
知ってて言ってるんだよね…?
仲直りさせようと言う意図かもしれないけど、
喧嘩してるわけじゃないから物凄く困るよ…
流星も亀さんの隣で、困った表情を浮かべていた。
「や…それは……
俺、マジで水シャワーでいいから…」
流星が拒否すると、
すかさず瑞希君が言う。
「それはダメだよ!
風邪引いたらどうすんのさ!」
「じゃあ…入んない。
どうせ明日の夜には直るんだし…」
「それもダメ!
僕、臭い男は嫌い。今晩側にいてあげないよ?」
「瑞希…俺と出来てるみたいに聞こえるから、その発言止めてよ…」
「とにかく決定だよ!
寮長命令に従わない者は打ち首獄門だからね!
はい、みんなー!銭湯の用意して来てー。5分後玄関に集合だよー!」