ラベンダーと星空の約束
やっぱり湯舟っていいな。
少し熱めのお湯に全身をザブッと沈めると、
一気に力が抜け、自然な溜息が漏れる。
柏寮にはシャワーしかないから、時々亀の湯に浸かりに来ようかな。
30分という約束なので、
ゆっくりしていられなかった。
髪をドライヤーで乾かす暇もなく、
首にタオルを巻き慌ただしく外に出た。
時間は30分ピッタリな筈なのに…
何故か柏の自転車は一台しかなく、
土方のお兄さんの様に頭にタオルを巻いた流星が、
一人壁に背をもたれ、私を待っていた。
「お待たせ…
あれ?みんなは?」
「んー やられた」
「やられたって…どういうこと?」
「2人切りの時間を作ってくれたって事」
「何で…」
「俺達がギクシャクしてるから…何とかしたかったんじゃないの?
あー、ボイラーが壊れたって言うのは嘘じゃないけどね」
「そうなんだ…
みんなに心配かけてたんだね…」
「だね。俺もさ…今、反省してた所。
あからさまに避けてゴメン。皆にも悪いし、なるべく普通に戻れる様に努力するから…」