ラベンダーと星空の約束

 

 ◇◇◇


流星と同じ高校へ行こうと決意した日から、厳しい受験勉強の日々が始まった。



それ程必死にならなくても、いつもテストは満点近い私。

そんな私が勉強する事を初めて苦しいと感じた。




苦しかったのは受験勉強だけでなく…


両親に伝えられずにいた。

東京の高校に行きたいと言う希望を…



やっと言い出せたのは、秋になってからのこと。



地元の高校に進学すると思っていた両親はかなり驚き、

やっぱり反対された。



特待生になれば学費は掛からないと言う切り札を出したが、

それでも駄目だと言われてしまう。



これには困った。

何と言えば説得出来るのだろう。



近付いていた流星への道が消えそうで、泣きそうになった時、


側にいた大樹が、意外にも助け船を出してくれた。



「おじさん、おばさん、
紫がワガママ言ったこと、今まであった?」



その言葉に両親は黙り込んだ。



幼児の頃は別としても、物心ついた時からワガママを言った記憶は無い。



店が忙しい両親に代わり弟の面倒を見てきたし、

夏には土産物と軽食販売を手伝い、家事も殆ど私がやっている。



うちは家族経営の小さな観光農園。

ワガママなんて言っていられないのだ。



そんな優良賞ものの娘が初めて言ったワガママ…



大樹の言葉に両親は考え込んだ。



< 32 / 825 >

この作品をシェア

pagetop