ラベンダーと星空の約束
心の底から大樹に惚れる。
そうできたら、
流星の辛さは軽減するのかな…
大樹に恋をすれば
流星も私も救われるのかな……
大樹に恋をする、
これがとても難しかった。
大樹はやっぱり幼なじみで親友で、家族の様に大切な存在。
大樹の存在はかなり大きいのに…
大樹無しで生きる事は考えられないのに…
それなのに大樹への思いは、恋にはならない。
どうしたら大樹に恋が出来るのか…
しばらくそんな思索に耽っていたが、
「そろそろ帰ろう。風が冷たい」
流星の言葉で中断された。
自転車を押して歩く流星の隣に並び、柏寮への短い道程をゆっくりと歩いた。
流星も、遅い私の歩調に合わせてくれる。
どんなに遅く歩いても、柏寮はすぐに視界に入ってきて、
あっという間に玄関前に着いてしまった。
階段の前で別れる時、
流星が歩みをピタリと止めるから、
私も階段に一歩踏み出した足を止めた。
「お礼言い忘れてた」
「お礼って何の?」
「夕飯差し入れてくれてた事。ありがとう。全て美味しかったよ。
今度作ってくれた時は、一緒に食べよう。瑞希も一緒にさ。
寮の仲間なんだから、仲間らしい行動を取らないとね。
仲良くやっていけるよ…仲間として…きっと……」
「うん…」
「また明日」