ラベンダーと星空の約束
3
◇◇◇
とある晩秋の日曜日、
2階廊下の窓から狭い庭を見下ろし、ぼんやりと物思いに耽っていた。
柏の古木はすっかり黄葉し、
トゲトゲ帽子を被った茶色いどんぐりを実らせていた。
フラノなら愛らしいエゾリス達が、
冬籠もりの準備にどんぐりを集める姿を良く見たが、
都会じゃ、リスは出てこないよね。
古い柏寮にはネズミなら居そうだけど。
秋晴れのこの空と同じ様に、
最近は平穏な日々が続いていた。
大樹と私の関係も上手くいっている…
と言うより何も変わらない。
朝晩電話し合って、安らぎと会えない淋しさを感じる一方で、
大樹に恋が出来ないと再認識し、切なくなるだけだ。
流星と私の関係はというと、
ただの寮の仲間として、それなりに上手くやれていると思う。
銭湯に行った日から流星は変わった。
私を避ける事が無くなり、
廊下で顔を合わせると、何気ない立ち話をするまでになった。
寮の皆と一緒に過ごす時間を、意識的に増やしている様にも見えた。
夏休み前みたいに、
皆でワイワイと焼肉パーティーをする様にもなったし、
この前なんて、自分からハロウィンパーティーをやろうなんて言い出して…
「ハロウィンなら、やっぱり亀さんの部屋でやらないと」
そう言われ、亀さんの部屋に初入室した私は、予想外な部屋の有様に驚いた。