ラベンダーと星空の約束
合わせた唇の隙間から甘い声が漏れるが、
それを恥ずかしく思う余裕もない程、流星に夢中だった。
理性も善悪も…何もかも吹っ飛んで、頭の中に残された物は、
流星が好き…
流星が欲しくて堪らない……
欲望にも似た素直な感情だけ。
2人の息がどんどん熱くなる。
流星の右手が背中に移動する。
指先がワンピースのファスナーを探り、それをゆっくりと下ろして行った。
流星の手の平が、
背中の素肌に大きな円を描く。
痺れる様な甘い疼きが背筋を走り、クラクラと目眩を感じて彼の首にしがみついた。
その時……
持ち上げた左腕から
「シャラッ」と小さな金属音が聴こえた。
それは…大樹が誕生日プレゼントにくれたブレスレットの鎖が立てた音。
その小さな音が
私の体をビクッと大きく震わせた。
大樹!!
私…何やって……
ハッと我に返った私は、
流星の肩を押して体を離すと、慌てて立ち上がった。
「ごめんっ! 流星ごめん!!
ダメ…ダメなの……こんなことしたら大樹が……」
「………」
流星は何も言わなかった。
ブレスレットを握りしめ立ち尽くす私を、
ただ静かに見ている。
何も言わないけど、また酷く傷付けてしまった事は感じられた。
苦しげに歪む顔…
私のせいだ…
また…
流星を傷付けてしまった…
私…本当最低……