ラベンダーと星空の約束
紫色のキミ

 



 ◇◇◇


12月半ばを過ぎて、東京の町にも冷たい北風が吹き抜けていた。



フラノはもう10cm程の雪が積もり、根雪になるのが今年は早いと、母が電話で教えてくれた。



もうすぐ冬休みに入る。

フラノに帰ったら、真っ白な銀世界がどこまでも広がっていることだろう。



その前に、2学期の期末テストがあった。



期末テスト最終日の朝、
学校へ行く支度を終えた私は、

瑞希君の部屋のドアを
遠慮がちにノックした。



リップグロス片手にメイク途中の瑞希君が、

制服のスカートの下にパジャマのズボンを履いたまま出てきて、思わず笑ってしまった。




「何だよ〜寒いから、出かけるギリギリまでズボン履いてるんだよ。

何か用事あるんでしょ?
時間ないから笑ってないで早く言ってよ」



「そうだよね、ごめん。

あのね、今日午前中でテストが終わるでしょ?

午後から予定がなければ、買物に付き合って欲しいの」



「僕と?珍しいこと言うね。 
買物ってどこまで行くの?」



「えーと…言い難いんだけど、大樹の誕生日プレゼントを買おうと思って……

そういうのって何処で買えばいいのかな?

東京に来てショッピングとかしたことないから、

適当な所に連れて行って貰えると嬉しいんだけど……」



「へえー、大樹君へのプレゼント選びを僕に付き合えって言うんだー

やだね。大ちゃん宛てなら喜んで付き合うけどさ」



「だよね…やっぱり一人でどっか行ってみる…
変なこと頼んでごめん…」





文化祭の後、私と流星の仲に何らかの進展を期待していた瑞希君は、

私から事の顛末(テンマツ)を聞いて溜息をついた。



あんなにお膳立てしても尚、
大樹を思って流星を拒んだ事にガッカリしたみたい。



そんな流星押しの瑞希君に、大樹の為のプレゼント選びに付き合えなんて頼むのは、やっぱり無理だったみたい。



そんな返答をされるのは分かってたけど……


まだ東京の町に不案内だし、
大都会のデパートやショッピングモールってやたらと広いから、一人で行くのが不安だったんだ。



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