ラベンダーと星空の約束
◇
某ショッピングモールに向かう電車の中で、終始無言の私に瑞希君が言った。
「紫ちゃんて頭いいけど悪いよね。いい加減に学習したら?
君は大ちゃんを好きな気持ちを消せないんだよ。
無理して大樹君と付き合っても、君にとって良いことなんて何もないのに」
「良いことあるよ…大樹がこれからも側にいてくれる……」
「あぁ、『俺を振るなら一生避ける』って言われたんだっけ。
そんなのただの脅しだと思うけどなー。
自分が劣勢だから、駆け引きしただけだって。
君はまんまと大樹君の作戦に引っ掛かったんだよ」
「大樹は…駆け引きなんて出来ない奴なんだよ。
真っすぐなバカだもん。
大樹は嘘は言わない。
一生避けると宣言したら、それを貫き通す」
「ふーん。じゃあ、そうやっていつまでも、大樹離れ出来ずにいればいいんだよ。
大ちゃんが彼女作って、君の事なんてどーでもよくなっても、僕に泣きついて来ないでよ?」
「泣かないよ……流星に彼女が出来るのは……嬉しいよ……」
「嘘つき」
そうだよ。
私は嘘つきだ。
流星に彼女が出来て嬉しいなんて嘘。
紫(ムラサキ)ちゃんなんて知らないと、二度も嘘をついた。
嘘つきでいいよ。
正直に話したって、いいことなんか一つもない。
紫(ムラサキ)ちゃんなんて知らない……
流星に彼女が出来たら嬉しい……
そうやって嘘をつき続けるうちに、それが真実に思える日が来れば、
これ以上誰も傷付けずに済むよね……