ラベンダーと星空の約束
 


迷う私に瑞希君が聞く。



「予算は?」



「8千円位」



「んー…それなら…あそこのハーフブーツは?

7890円だって、値段の割に格好いいと思うよ?」




ブーツか…それもいいかも。

そう思って手に取り、靴底を見てすぐに戻した。



他の種類のブーツの靴底も順番に見ていったけど、どれも却下。



靴底がツルツルな物が大半で、溝があっても深さが足りない。



こんなんじゃ家から一歩出た途端に、雪道で滑って転んでしまう。



東京は雪が積もることって余りないから、しょうがないか。



靴は諦めてまたブラブラと歩き出した。



服や鞄も見て回ったけど、いいなと思う物は予算オーバーで……




「中々決まらないね。紫ちゃんて思ったより優柔不断だなー。

大樹君の趣味って何かないの?
どうせあげるならそういう方が喜ぶんじゃない?」



「大樹の趣味はゲームと弓道かな」



「弓道?弓道グッズなんてここには無いよ。

ゲームソフトならあるけど、専門店行った方が品揃えがあるかも。移動する?」



「や…これ以上ゲーム馬鹿になったら困るから、それ以外で。

どうしよう…大樹って服装とか無頓着だし、アクセって柄でもないし…困ったな…」




ゲームは駄目だし…
お菓子などの消費物以外となると、何を選んでいいのか分からなくなってきた。



もう大分時間が経ってる。

瑞希君を無理やり付き合わせてるから、そろそろ決めないと申し訳ない。



もう私の希望で、
『頭の良くなる本』とか
『小学生用漢字ドリル』でもいいかな?

嫌がらせって言われるだろうけど。



決められない事に焦り始めた時、
瑞希君が携帯ショップを指差した。




「あれはどう? スマホカバー。

紫ちゃんてカバー無しでスマホ使ってるよね。

もしかして大樹君もそうなんじゃないの?

8千円もしないけど、実用的でいいと思わない?」



「それだ!!
瑞希君すごーい!」





大樹は私と色違いで
お揃いのスマホを持っている。



高校の入学祝いに大樹のおじさんが買ってくれた物で、色は大樹が黒で私が白。



私達は2人ともカバー無しの本体のみを持ち歩いていた。



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