ラベンダーと星空の約束
 


その古いこたつに急いで電源を入れ、流星をその中に押し込んだ。



私が勝手に嫉妬して浮かない表情を見せてしまった為に、

要らない心配を掛けて寒い玄関先で待たせてしまった。



そのせいで風邪を引かせたなんていったら、洒落にならない。



流星にとっては、
ただの風邪でも命取りに成り兼ねない。


「風邪引いたら多分入院になるから〜」

前に流星はそう言っていた。



感染に注意すれば普通に生活できると言っても、

集団生活の中でそれを実行するのは大変だ。



冬場の外出は控えてるみたいだし、

ニュースでインフルエンザの話題が出始めてからは、学校でもマスクを付けてる事が多かった。



いつもは風邪予防に配慮している流星だけど、

今日みたいにまた玄関先で待たせたりしない様、心配を掛ける行動は避けないと……



反省しつつエプロンを着て冷蔵庫を開け、食材を確認した。




「流星、何食べたい?
と言っても…手の込んだ物を作ってる時間は無いけど」



「だし巻き玉子」



「そんなんでいいの?」



「それがいい。

お弁当の日が無くなって暫く食べてないし、今 無性にあれが食べたい」



「うん…分かった」





以前毎週水曜日に作っていた流星のお弁当には、
必ずだし巻き卵焼きを入れていた。



流星が「好きな味だ」って言ってくれたから……



お弁当の日が無くなっても、
私のだし巻き玉子をまた食べたいと言ってくれたことが嬉しかった。



流星に10分待って貰い、
だし巻き玉子とキムチ炒飯を作った。



コンロは一つしかないし、
時間を掛けていられないので、スープはレトルトのワカメスープ。



待っている間、
テレビでも見ていてと言ったのに……


流星は料理を作る私をジッと見ている様で、

斜め後ろから感じる視線に頬が熱くなった。



出来上がった料理をこたつテーブルの上に乗せると、

流星はやっと視線を私から外して、夕飯に向けてくれた。



< 369 / 825 >

この作品をシェア

pagetop