ラベンダーと星空の約束
 


どうしても車が使えず重たい荷物をどこかへ運ぶ必要がある時は、ソリを使う。



恐らく雪が積もる地方なら、全般的にこの光景は見られるはず。



パンパンに膨らんだ買物袋と幼児を乗せ、ソリを引いて歩く母親達の姿は北国では珍しくない。




スーパーマーケットまで半分くらいの所まで来た時に、

自転車を押して歩く瑞希君の唇が紫色になっているのに気付いた。



はぁ…しょうがないな……



着ていたコートを脱いで、
瑞希君に羽織らせてあげた。




「それ着て。お店に入ってから脱げば、サンタの衣装も皆に見て貰えるから」



「いいよー後少しで着くし、これじゃ君が寒いじゃん」



「私はセーター着てるし、マフラーもあるからそんなに寒くないよ。

瑞希君の唇、紫色になってるよ?

風邪引いて流星にうつしたら大変だから、お願いだから着ていて?」



「なんだ〜結局大ちゃんの心配してるんだ〜

うっかり惚れそうになったじゃん」



「はいはい。ちゃんと袖通してボタン閉めなよ」





自転車を押すのを代わってあげて、瑞希君はコートのボタンを閉めながら私の隣を歩いていた。



柏寮から10分程の距離にあるスーパーマーケットに着いた時には、

瑞希君の唇は綺麗なピンク色に戻っていて安心した。



お店の中に入ると早速コートを脱いで私に返し、買物客にサンタコスプレを披露している。



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