ラベンダーと星空の約束
予想通り…
だけど…驚いていた。
そこに母さんの形見の指輪があったから驚いたわけじゃない。
紫水晶の輝きが…
記憶のドアをこじ開けたから…
驚いていたんだ……
脳が揺さ振られる様な衝撃に襲われた。
あの夏が勢いよく噴き出し…
意識が…抗いようもなくそれに飲み込まれた…
――――――……
―――――…
こと座のベガ…白鳥座のデネブ
母さんの指輪…
「これ預かってて?次に会う時まで……」
さそりの心臓アンタレス
優しい香り…ラベンダー畑…観光客
「流星、すごーい!アハハッ」
わし座のアルタイル
木漏れ日…白樺並木
澄み渡る青い空…
「私もこの音好き!」
ラベンダー色のサイダー
「ラベンダー畑に降り注ぐ流れ星か…まるで僕達みたいだ……」
紫のおじさん、おばさん、弟の青空君
「だから君にはまだ難しいって……」
ドストエフスキー…罪と罰……
「流星も来いよ」「大樹君 ありがとう」
花火…ビニールハウス…
「流星の星の物語を聞くとワクワクするんだもん!」
色彩豊かな大地…十勝岳連峰
白…紫…ジャガ芋の花
「紫、遊ぼーぜ」「でも流星が一人になっちゃうから…」
エゾリス、キタキツネ…
「8月7日…紫は獅子座だよね?」
トドマツ…ナナカマド…暴風林の緑…
夕日に染まる丘の稜線
「大文字って大魔神みたいに聞こえて……」
サルビア、ポピー、花畑
「流星!あーそーぼ!」
トラクターのエンジン音…虫の音…
「約束するよ…手術が成功したら一番に君に会いに来る……」
ファーム月岡
青色のライトに照らされて浮かび上がるラベンダー畑…
満天の星空…
「待ってるから…絶対に戻ってきてね?」
紫…
紫…
君は眩しいあの夏の…
初恋の女の子…