ラベンダーと星空の約束
ゆっくり歩く事10分で、おじさんの言ってた観光農園が目に入ってきた。
広い駐車場には大型観光バスが一台と、普通乗用車が15台程停められている。
その奥に『お土産・軽食』と看板を掲げた平屋の大きな店舗。
さらにその向こうには、広大な面積のラベンダーの丘が広がっていた。
一面の紫色を背景に、カメラを構える沢山の観光客。
その楽し気な笑顔に誘われ、僕もラベンダー畑に近付いて行った。
ラベンダーの小さな花の一つ一つが見えるくらいまで近付くと、
遠目にはなだらかに見えた丘の斜面も結構な勾配があり、
その頂きまで上らず、下から見上げるだけに止めておいた。
淡から濃の紫色のグラデーション。
色が違うのは何種類かの品種を数列ずつ植えているせいだろうか。
整然と植えられたラベンダーの列を下から上に愛でていくと、
その先には紫色と青空のコントラスト……
あぁ…
なんて綺麗なんだろう…
写真で見るフラノの景色も素晴らしいと思うけど、
実際に四次元の世界で目にしたこの風景は、圧倒される程の美しさを放っていた。
写真では感じられないこの香り。
清涼感ある爽やかで優しい香りが鼻孔をくすぐる。
ラベンダーの丘には沢山の観光客の姿が見られた。
賑やかな笑い声の中、僕だけが一人で佇んでいたけれど、
ラベンダーの香りが優しく迎えてくれたから、淋しさは感じなかった。