ラベンダーと星空の約束
紫色の想い出
1
中学の授業を終え自宅に帰って来た。
ダイニングの食卓テーブルで宿題を広げ、シャープペンシルをカチカチ言わせている。
カチカチ…カチカチ…カチカチ…
勉強が分からなくて困っている訳じゃない。
イライラしてカチカチしちゃうのだ。
すぐ側からはゲームの機械音が流れ続けている。
しばらく見逃していたが、とうとう堪忍袋の緒が切れて、ゲームに夢中なこいつに言った。
「いつまでゲームやってんのよ!
大樹(タイキ)は宿題しに来たんじゃなかったの?
すぐにやらないと教えてあげないから!」
大樹と言う男は私の幼なじみ。
同じ歳の中学三年生だ。
一応断っておくけど、大樹がうちにいる理由は付き合っているからではない。
こいつがうちに居るのはごく自然なこと。
家が隣で行き来は頻繁。
生まれた時から一緒に育って来た様な物だから、私の兄弟…アホな弟みたいに感じる。