ラベンダーと星空の約束
 



紫の中は暖かい。

潤んだ黒目が俺を見つめる。

色白の頬が紅潮して綺麗だった。



あの夏の少女が、今腕の中にいる。

夢みたいだ……



彼女が身に付けているのは、シルバーチェーンのネックレスだけ。


白く柔らかな胸元で、
紫水晶の輝きが弾んで揺れていた。



紫色は君の色。



綺麗だ…

君は誰より美しい…



腕の中で可愛らしく鳴く紫を、いつまでも見ていたかった。



だから…少しやり過ぎたかも知れない。



紫はもう声も出せない程疲れた様子で、俺の片腕を枕に、速い呼吸を繰り返していた。



無理もないか。

俺の息子がすぐに元気になってしまうから、短いインターバルを挟んで、立て続けに4回も付き合わせてしまった。



部屋の中はすっかり暗くなり、
カーテンを閉めずにいた窓からは、街灯の明かりが仄かに入ってくる。



寮の皆もそろそろ眠りに就く頃だろう。




「 紫…? 」



彼女の呼吸が落ち着くのを待ち声を掛けると、返事の代わりにスースーと可愛らしい寝息が聴こえてきた。



「ハハッ お疲れ様」



紫の額にキスを落とし、頭の下からそっと腕を抜いた。



起こさない様に気をつけてベットから下りる。

彼女の首元まですっぽりと布団を掛けた。



俺はまだ眠る訳にいかなかった。

やらなくてはならない事を残しているから。




< 408 / 825 >

この作品をシェア

pagetop