ラベンダーと星空の約束
蠍座の心臓
1
◇◇◇
朝の穏やかな光りで目を覚ますと、流星の腕の中にすっぽりと包まれて寝ていたことに気付いた。
目の前には、端正な彼の寝顔。
規則正しい寝息が額に掛かり、少しくすぐったかった。
昨日の出来事は夢じゃなかったんだ……
流星の寝顔に見惚れながら、まだぼんやりとした寝起きの頭で振り返っていた。
流星はあの夏を取り戻してくれて…私達の想いはやっと通じ合えた。
初めはどうしようって焦ったけど…
流星に抱きしめられると、嬉しがる心を抑え切れなかった。
好きだと言えた事が嬉しくて、涙が止まらなかった。
半日経った今もまだ心は喜びの中にあり、気持ちの高揚を感じる。
嬉しい…
でも…かなり恥ずかしい。
昨日流星が私にしてくれた事を思い出して、顔が真っ赤になった。
流星の腕の中で何度も高みに上らされ、意識が飛びそうになるくらいの快感を味わった。
あんな凄いのは初めて…
今思えば顔から火が出そうなくらい乱れてしまって…
流星が目覚めたら、どんな顔して「おはよう」と言えばいいのだろう。
羞恥とモラル、
これからの不安……
喜びだけでなく色々な思いが交錯するけど、流星と体を重ねた事を決して後悔していない。
記憶を取り戻した彼は私を諦めるのは不可能だと言い、それは私にとっても同じだった。
あの夏を思い起こさせる純粋な瞳で求められたら、どうして断る事が出来るだろう。
昨日の一件で、こんなにも強く流星を欲していると、思い知らされた。
もう…無理だよ……
この気持ちを押し殺すのは…無理なんだよ……
私が愛しているのは流星。
大樹を…恋人として見ることは…できなかった……
この後私はどうすればいいのか…
その答えは既に出ている。
大樹と付き合う事は初めから間違っていたんだもの。