ラベンダーと星空の約束
スマホを置きドアを開けると、ニヤついた瑞希君が立っていた。
「夢心地な紫ちゃんに朗報〜!
今日は僕が君のエスコートしてあげる。
午後から2人でクリスマスデートするから、他の予定入れないでね?」
「…は?」
「“は?”って事ないでしょ?傷付くなー。
僕とデートするのは嫌なわけ?」
「そうじゃなくて…
瑞希君と出掛けるのは楽しいけど、クリスマスデートって何?」
「僕の好きなサックス奏者
“マイク・モハメド・孫・霧島”のジャズコンサートチケットが手に入ったんだよ。
クリスマスイベントって、カップルばかりだからさ、1人で行くの嫌なんだよねー。
お願い一緒に行って?」
「マイク・モハメド・孫…
え?どこの国の人?」
「日本人だよ。結構有名なのに知らないの?
それなら尚更聴きに行くべきだよ。凄く素敵だから」
「聴いてみたいけど…クリスマスなのに流星を一人ぼっちにするのは…
流星も一緒にって訳にはいかないよね。
冬場の人混みは避けたいって言ってたもんね…
瑞希君ごめん、私やっぱり…」
「俺の心配はしなくていいから、瑞希と楽しんでおいでよ」
私が断ろうとした時、
瑞希君の後ろから流星が現れ、そう言ってくれた。
「ほら、大ちゃんのお許しも出たことだし、お願い!
帰りにクリスマスっぽい物お土産に買ってきて、3人で夕食食べればいいじゃん。
昨日は2人のせいでクリスマス会が途中でお開きにされちゃったからさー、何か騒ぎ足りないしー。
2人は盛り上がってたみたいだけどねー。
あっ、紫ちゃんのあの時の声って結構大きいよねー。
次からは気をつけて喘がないと、僕らのオカズにされちゃうよ?」
「……… 今日は瑞希君の言う事何でも聞きます。
どこでも行くから…昨日の夜の事は忘れて下さい……」
「ヤッター!
じゃあ13:30に出発するから用意してね」
「うん。流星…瑞希君と行ってくるね?」
「ん。俺連れて行ってやれないから瑞希が誘ってくれて良かったよ。
楽しんできて。
あとさ、そこのパン屋で朝飯…もうすぐ昼だけど、パン買って来たから一緒に食べよ?
瑞希の好きなチーズクルミパンとシナモンデニッシュもあるから」