ラベンダーと星空の約束
 


「僕の分まで? へぇー迷惑料って事なん…っと…

あ〜…どこで食べる?
大ちゃんの部屋が一番暖かいから移動しよーよ」





“迷惑料”と言いかけた瑞希君は、チラリと私を見てから話題を逸らした。



確かに瑞希君には今まで散々迷惑を掛けてきて、

お世話になりっぱなしの自覚があるから、言いかけて止める必要はないのに。



流星が迷惑料のつもりでパンを買ったのかは知らないけど、

私も今度、瑞希君にお礼しないと。



3人で流星の部屋に移動し、朝昼兼用の食事を取った。



温かいミルクティーとパンを食べ、2人と会話しつつも、足元に置いたスマホが気になってしまう。



大樹からの連絡はまだなかった。



充電切れにまだ気付いてないのだろうか……



さっき感じた嫌な予感は消えてはいない。



マグカップのお礼だけとは言え、今大樹と話しをするのは正直苦しい。



私の声色から
「何かあった?」
なんて聞かれるかも。



心情的に今連絡が取れないのは有り難い事なんだけど……やっぱり気になる。



出掛ける前に家電に掛けてみようか…

そう思い、スマホをチラチラ見ていると、流星が私の様子に気付いた。




「紫、どうした?

さっきからスマホばかり見てるけど、大樹からの連絡待ってるの?」



「あ…えーと…待ってる訳じゃないけど、

クリスマスプレゼントのお礼を言おうと思って電話したら、

電源が入ってないみたいで、繋がらないから…」



「そう…

充電し忘れじゃない?その内掛かってくるよ」



「私もそう思うんだけど……」



「だけど?」



「ううん、きっとそんな所だと思う。もう気にするの止めるよ。

あっそうだ!
瑞希君、ジャズコンサートってどんな服装で行けばいいの?」



「ラフ過ぎず堅過ぎず…かな?

食べ終わったら服選んであげるよ。僕と被ったら嫌だしー」



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