ラベンダーと星空の約束
10枚の写真がどんな写真かと言うと…
まず、夜の柏寮の写真が2枚。
闇の中、外灯の明かりに照らされ、ぼんやりとした暗い輪郭を浮かび上がらせる、柏寮の玄関。
木製ドアの上部に明かり取りの小窓が付いていて、
玄関の豆電球の明かるさを、仄かに外に伝えてくれる。
日が沈んでから帰ると、この頼りない光がいつも優しく迎えてくれて、
ほっこりした温かい気持ちになれるのが嬉しかった。
だからこの写真に付けたタイトルは『おかえり』
もう一枚の夜の写真は、亀さん好みの写真。
月明かりも差し込まない、真っ暗で長い廊下。
豆電球の弱々しい明かりが2つ、闇の中に古い板の目を浮かび上がらせて…
この写真に効果音を付けるとしたら、
「ひゅ〜どろどろ〜」だと思う。
霊が写っていそうなその写真は、亀さんの為に選んだ。
昼間の写真は、私達5人全員の部屋の写真。
亀さんのホラーな部屋は前に見たけど、たく丸さんのアイドルグッズが溢れる部屋は、この時に初めて入った。
瑞希君に聞いていた通り、座るスペースがないくらい物で溢れている。
この時はまだ引っ越しの準備は始めていなくて、
これを全て段ボールに詰めるのは大変そうだと思った。
残り3枚の内、2枚は夕暮れの写真。
夕日に染まる柏寮が一番綺麗だよねと私が言うと、流星も瑞希君も賛同してくれた。
廊下の窓から斜めに差し込むオレンジ色の光が、
古く滑らかな床板と、等間隔に並ぶ10個の部屋のドアを、
暖かく親密な色に染め上げている……
私の大好きなこの1枚に
『ノスタルジア』と言葉を添えた。
もう1枚の夕暮れの写真は、狭い庭で柏寮を背景に5人並んで写したもの。
自転車を庭に運び、その荷台の上にカメラを置いてタイマー撮影した。