ラベンダーと星空の約束
流星は、私が一番欲しい言葉を、一番欲しい時に与えてくれる。
それも自然に…
当たり前の様に……
流星の言葉がじんわり染み込んで、肩の力がふぅーと抜けていくのを感じた。
私が笑いかけると、流星も嬉しそうに笑ってくれる。
それから、
笑っていた流星の瞳が色っぽく輝き、
綺麗な指先が、私の顎を捕らえ…
「ストーップ!!
2人して、何ピンクのハート飛ばし合ってんのさ!
僕の存在忘れてるの?
それとも僕の前でキスするのに慣れちゃった?
それともアレ?
彼女のいない可哀相な僕への嫌がらせ?」
「あっごめん…
嫌がらせでも、忘れていた訳でもないから…」
嫌がらせでも忘れていた訳でもないけど、
瑞希君の前でキスするのに慣れた…
と言うのは、否定できないかも。
でもそうなったのは私のせいじゃないよ。
学校で皆の前で2度もキスしてしまったし、テニスの時のキスは、瑞希君だって加担してたじゃない。
だから、決して恥じらいがなくなった訳じゃないと………思いたい。
◇
“ファーム月岡”のロゴが印字されたお揃いのエプロンを着て、
自宅から30m離れた土産物店に入って行った。
昼時はとうに過ぎているので、軽食コーナーのテーブルは半分しか埋まっていない。
土産物の方は沢山のお客さんがいるけど、
もうすぐ辞める予定のアルバイトさんがまだ働いているので、
スタッフの人数は足りて、店内は落ち着いていた。
去年の様にワタワタした状態になっていない事に安心しながら、
2人を母のいる調理場に連れて行こうとした。
軽食コーナーに足を踏み入れると、バックから弟の青空(ソラ)が出てきた。
湯気立つ焼きそばと、じゃがバターを両手に持ち、私の方を見た。
「あっ!姉ちゃんお帰り!
ちゃんと歩けんだ、良かった。
店に出るのはいーけど、あんま無理すんなよ」
「うん、ありがと。
青空、2品以上はトレーに入れて運びなって、いつも言ってるでしょ?」
「分かってるよ…」
「分かってるならルールは守って。
ほら冷めるから早く料理出しといで。話しはまた後で」
「分かってるって…
もー姉ちゃんは相変わらず口煩いよなー…」