ラベンダーと星空の約束
今度は110号室目指して廊下を進んだ。
突き当たりの角部屋に着くと、中から女の子の笑い声が聞こえてきた。
鍵を預かってくれている110号室からの笑い声。
静か過ぎる寮内に明るく響いたその声に、確かに人が住んでいるのだと安心した。
ホッとしながらドアをノックしようとして……
ノック出来なかった。
「アハハッ
待って、くすぐった……やぁん…」
お…お取り込み中!?
笑い声が急に悩ましげな声に変わって、
ノックするために上げた手を下ろし、一歩後退った。
先程玄関先で感じた違和感をハッと思い出した。
靴棚に並んでいた靴は、女物にしては大き過ぎる靴があった。
それはこの部屋の住人の、彼氏の靴だったのかな…
あれ?
でも…女物の靴の中に男物が紛れていたと言うよりは、逆の様な気もするけど…
いや、今はそんなことより、部屋の鍵をどうすればいいのか。
コトが終わるまで待ってからノックした方がいいのか?
でも、立ち聞きしてるみたいでこれじゃ…