ラベンダーと星空の約束
 


「何言ってんのよ。

今日はたったの3時間しか働いてないじゃない。

明日は9時から18時までお店に出て貰うからね?」




「うえ〜キツーイ。
足太くなって、ミニスカート履けなくなっちゃうー」




「瑞希、これを機に女装止めたら?
彼女が欲しいんだろ?」




「そうだけど無理だよー。

僕に一番似合う格好なのに、止める意味が分かんない。

スカート履かない僕なんて、僕じゃないじゃん」





確かに瑞希君は、スカートのイメージが定着してる。

体育ジャージ姿の彼を見ると「何か変」とまで思ってしまう。



普通の男の子の格好をしたら、どんな雰囲気になるのか?



ちゃんと男の子に見えるのか、それともやっぱり、ボーイッシュな女の子にしか見えないのかな?



頭の中で、瑞希君の男装ファッションショーを勝手に繰り広げながら、夕食の準備に取り掛かる。





「流星、あの棚の上のホットプレート出してくれる?」




「OK。…よっと。

食卓テーブルに置けばいいの?今日の夕飯、焼肉?」




「ジンギスカンにするってお母さんが言ってた。

奮発して良いお肉買ったみたいだから、沢山食べてね」




「ジンギスカン!
北海道っぽくていーねー! 僕初めて食べるよ。
お腹空いたー」





ジンギスカンと聞き、ソファーに転がっていた瑞希君が、キッチンを覗きにきた。



流星が出してくれたホットプレートを見て

「あれ?」と首を傾げている。




「ジンギスカンの鍋って、丸くて帽子みたいな、ドーム形の奴じゃないの?」




「うちは昔からホットプレート。大樹の家も同じ。

ジンギスカン鍋はお店でしか見たことがないかも」





瑞希君は「ふーん」と言いながら、袋に入った味付けラム肉をツンツン突いている。



流星は冷蔵庫から出した野菜を洗ってくれていた。




「瑞希君も野菜切るの手伝ってね」



「えーまだ働かせるのー?
ファーム月岡、人使い荒ーい」



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