ラベンダーと星空の約束
そう思っていると、瑞希君が自己申告してくれた。
「僕は美人じゃなくて、美男子だよ?」
「あ? お前、男か。
へー……ん?それじゃ、柏寮って…女は紫だけか?」
首を捻り、私を見る父。
ああ!ここにきて、今その問題が発覚するのか!
いつかは突っ込まれると思っていたけど、
流星の事ばかりに気を盗られていたから驚いた。
とにかく謝らないと…
そう焦って頭を下げる。
「お、お父さん、ごめんなさい!
内緒にしてたけど…女子寮じゃなく、男女混合って言うか…入った時はほぼ男子寮状態だったの……
でもね、騙したんじゃなくて、初めは本当に勘違いして…
それに皆、本当にいい人ばかりで…」
「まぁ…いいさ。
今更、寮を出ろなんて言わないから心配すんな。
寮の人達には散々お世話になってるみたいだしな。
良かったな…紫はいい仲間に恵まれたな」
「さすが、紫パパ!良いこと言うねー!
僕達、本当散々、目茶苦茶、娘さんのお世話させられてきたんだよー」
「瑞希君、そんなに言うほど、お世話になってないよ。
流星にはそれくらいお世話になってるけど。ねっ流星?」
話しを流星に振ると、箸を置き、父を真っすぐに見た。
父も初めて、流星と視線を合わせてくれる。
挨拶するなら今しかないでしょ!
そう意気込んだ私だけど、父はすぐに視線を外し、瑞希君に話し掛けてしまった。
「それにしてもお前アレだな。
うちの娘と張り合えるくらい、可愛い顔してんな」
「も〜正直者のパパさんだな〜
で?はっきり言って僕と紫ちゃんどっちが可愛いと思う?
僕の方が可愛いよね?」
「紫だな」
「え〜!? 何それ、超親バカ丸出しじゃん。
普通はさー、思っていても、言わないもんだよ?」
「そうか? おじさんは正直だからな。娘が一番可愛いい。
だから…娘はどこにも誰にもやらん」
「誰にもやらん」の所で、一瞬だけ流星を見た父。
ああ…
やっぱり認めてくれないのかな…
流星を横目で見ると、物凄く居心地の悪そうな顔して、黙々とひたすら食べ続けていた。