ラベンダーと星空の約束
 



 ◇◇◇


翌日は2学期の始業式だった。

式の後に授業はなく、昼前で帰りのホームルームが終わった。



帰り支度を済ませ、流星が迎えに来るのを待ちながら、

真由と千絵梨の夏休みの話しに耳を傾けていると、校内放送が流れた。



「ピンポンパンポーン」
お決まりの音が流れるスピーカーに注目する。




『えー…ゴホッ、生徒の呼び出しをします。

3-F、大文字流星、二宮瑞希、2-B、月岡紫、

至急進路指導室まで来るように。

繰り返します―――…』





「紫、呼ばれてるよ?」


真由がスピーカーを指差して言う。



「進路指導室だって、アレについてじゃない?」


千絵梨が両手の人差し指で、B5ノートの半分サイズの四角を宙に切り出す。




「きっとソレについてだね…
はぁ…やんなっちゃう」




柏寮3人の進路指導室への呼び出し。

何を言われるのかは分かっている。



今朝のホームルームで進路調査表を配られ、帰りのホームルームでそれを提出していた。



流星達3年生も、きっと今日、進路調査表を書かされたのだと思う。




気になっていた流星と瑞希君の卒業後の進路は、夏休みの間に聞く事が出来た。



今の放送で2年生の私と3年生の2人が同時に呼び出されたのは、

恐らく、流星の書いた進路に、私が関係してるせいだ。





面倒臭いと思いながら、2階の端までひょこひょこ歩き、進路指導室のドアをノックした。



「入りなさい」


低い声がして静かにドアを開けると、流星と瑞希君は既にその場にいた。



進路指導室に入ったのは、この時が初めて。



進路調査表は1年生の時から、各学期の始めに書かされてきた。



今まで進路について担任から何か言われる時は、

教室でそのまま言われるか、職員室へ呼び出されるかのどちらか。



それが今回、わざわざ進路指導室まで来いと言う事は、

長い話しになると言われている様な物で、自然と気分が下降する。



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