ラベンダーと星空の約束
 


「何を馬鹿な事を。
書いたからには、必ず受験させるからな」




「じゃあ書かなーい。先生ってしつこいよねー。

今年から進路指導のトップになって張り切ってるの?

大学行きたいと思ってる生徒は沢山いるんだからさー、その子達にもっと構ってあげなよ。

僕らの事は放っといて。
お腹空いたからもう帰るー」





立ち上がろうとした瑞希君を、3-Fの担任は片手を上げて制した。



四角いレンズの銀縁眼鏡を額まで持ち上げ、

わざわざ裸眼を細めて私達を順に睨め付ける。




「お前ら仮にも特待生だろ?

学校が金出して勉強させてやってんだから、もっと学校に貢献しろ。


月岡はまだ2年だから適当な大学名書いとけ。

大文字はT大、二宮はW大かK大かH大。

入学しなくてもいいから受験はしろ」




「何それ〜そんな事したら、その大学に真面目に入りたい人に失礼じゃん」




「見ず知らずの奴を思いやるより、俺達教師を少しは思いやってくれ。

去年だって亀井戸は、いくら言っても志望大学のランクを上げないし、

終いには脅し…ん゙っ…ん゙ん゙…

とにかく、ここの所の柏寮には困ったもんだな」





私達の将来を心配して…
なんて言ってた先生が、

合格率アップに必死な、進路指導の教師の本音と共に、亀さんの名前を口にした。



そう言えば、オカルト研究会が素晴らしいと言う理由で、亀さんはw大に入ったんだよね。



亀さんもたく丸さんも、今頃何しているかな……

メールはたまにしてるけど、顔が見たいな……




私は楽しかった5人で過ごした日々に思いを馳せ、

瑞希君は先生と平行線の問答を続け、

流星は腕組みしながら、目の前の担任の様子を、じっと観察していた。




瑞希君と押し問答を続けていた3-Fの担任は、

瑞希君を説得するのに疲れたのか、話しの矛先をまた流星に戻した。




「おい大文字、何だんまり決め込んでんだ。
お前の進路の事だぞ?」




「あーすみません。
先生の昨夜の情事について考えていたもので」




「…… は…?」




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