ラベンダーと星空の約束
 


 ◇◇


瑞希君へのお土産の秋の新作ケーキと、夕食用の宇都宮餃子を買って柏寮に帰ってきた。



我妻ミチロウさんの事を瑞希君に話すと、


「へぇー、面白そうな人だね。

写真は興味ないけど、お昼奢ってくれるなら僕も行けば良かったー」


なんて言って、羨ましがっていた。





夜、お風呂上がりの濡れた髪を自室で乾かし、パジャマ姿で流星の部屋に行く。



流星は椅子に座り、机の上のノートパソコンに向かっていた。



手招きしながら
「これ見て」と私を呼ぶ。




「我妻さんからメールが来てるよ。

今日の写真を、早速送信してくれた」




我妻さんは写真展で、私達に向け2回シャッターを切った。



その画像を送るよと言ってくれたので、

流星はこのノートパソコンのアドレスを、

私は自分用のパソコンは持っていないので、富良野の自宅PCアドレスを教えた。



きっと今頃実家のパソコンにも、同じものが送信されている事だろう。




―――――――――――

今日は楽しい時間をありがとう。

カメラ少女と文学少年の組み合わせは、中々刺激的だったよ。


君達の素直で豊かな感性は、忘れかけていた僕の初心を思い起こさせてくれた。

いつまでもその純真さを忘れないで。


君達とはいつかまた会えそうな気がするんだ。不思議と。

だから、サヨナラは言わないよ。

またいつか会う日まで…
(←おじさん中々カッコイイこと言っただろ? WAHAHA!)


    ―我妻ミチロウ―


追伸

頼みがある。君達の周囲の人に、ロシアの観光PRをしておいてくれ。
アーニャの美しさも広めておいて。WAHAHA!

―――――――――――




メールでも「ワハハ」言ってる……



それを読んで流星と顔を見合わせ笑った後、添付されていた画像を開いた。



画像は3枚……あれ?

2枚じゃなく3枚なんだ。

私達以外の画像も送ってくれたのかな?



取り合えず1つ目から順に見ていく。



それは白黒じゃなくカラー写真。



写真パネルを指差しながら、私が流星に張り切って解説している所。



この時の私、こんな顔していたんだ……



それはまるで…極当たり前の事なのに、世紀の大発見をしたかの様に得意気に話す、子供の様な表情の私。



夢中になり過ぎて、キラキラ生き生きしている自分の顔が恥ずかしい……



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