ラベンダーと星空の約束
 


2枚目は突然写真を撮られた事に驚き、

ポカーンと口を開けているカメラ目線の私と、

私の前にサッと腕を出し、得体の知れない人物から守ろうとしている流星の姿が写っていた。



アホ面の自分の顔は笑えるけど、この時の流星がこんな仕草をしていたなんて、気付かなかった……



なんか…照れ臭いけど嬉しいな……




3枚目は…
これも私達の写真だった。



撮られた事に全く気付かなかったから、流星も驚いていた。



レストランを出て、我妻さんにお礼を言い、別れた後の写真。



流星の腕に掴まり、寄り添い歩く、私達の後ろ姿。

顔を見合わせ楽し気に笑い合う、2人の横顔が写っている。



背景や人混みを少し暗めのトーンに変えてぼかしてあるから、

私達だけが写真の中でくっきりと明るく浮き上がり、

幸せな時間を二人占めしているみたいだ。




「素敵な写真……

やっぱり我妻さんの写真って、温かくていい……」




「そうだな。

いきなりカメラを向けられた時は、怪しい人物に分類してしまったけど、写して貰えて良かった。

これを見たら今日の写真展の事や、我妻さんの事、

それから、可愛く着飾った紫の事を思い出せる」




「流星?触れないから、やっぱりいつもの私がいいって言ってなかった?」




「それも本音。
着飾った紫を可愛く思ったのも本音」





つまり…どう言う事かな?

たまにはオシャレして、外出するのも有りってことかな…?



首を傾げる私を見てクスリ笑った流星は、

椅子から立ち上がり、室内灯を消しにドア横のスイッチまで歩いて行った。



時刻は23時過ぎ。

明かりが消されて急に暗くなった室内に、

ノートパソコンの液晶画面だけが白い光を放ち、私の姿をライトアップしていた。




流星が私を腕の中に包み込む。

そっと優しく、壊れ物を扱うみたいに丁寧に……



激しさはなく、いつも優しく柔らかい…

それは流星のスタイルではあるけれど、

最近はその傾向が強まっている様に感じる。



夏休み開けくらいから、優し過ぎると言うか……



元から優しい人だけど、
最近は、私に触れる腕の力までどんどん優しくなる。



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